114号【特集】

 特集  イベントを商店街元気づくりのきっかけに
 政治、経済、社会等々多くの面で価値観の転換が迫られながら、なかなか対応できない日本。多くの商店街も、競合激化や消費者の購買行動変化になかなか対応できず、苦境が続いている。
 そこで、存在アピールや加盟店への刺激剤・販売促進策、役員の元気づくり策としてのイベントを考えてみた。

 【事例紹介1】 保土ヶ谷区天王町商店街協同組合
 産地直送セール (株)三浦海業公社と提携
人気を集めた三浦市のまぐろや
大根を目玉とした産直イベント

 保土ヶ谷区の天王町商店街協同組合(遠山卓志理事長、150店)では、1月19日に「産地直送セール」を実施して大勢のお客を集めた。
 これは、「コミュニティ商店街モデル事業」の一環として横浜市の協力を得て、三浦市の第三セクター、(株)三浦海業公社と提携して実現したもの。
 内容は、海業公社によるまぐろと三浦大根の販売、そして、同協組有志約20店によるワゴンセール。場所は同商店街コミュニティセンター前。
 好天に恵まれ、各種広報活動と相まって、ピーク時は1000人前後と、ふだんの土曜日とは比較にならないほどの人出があった。
 海業公社が持ち込んだ三崎まぐろ約700キロと三浦大根約170本は完売。また、青果、自家製パン、弁当など食品関係を中心に出店した店の多くも好調な売れ行きで、中には商品の補充が間に合わないほどの店も出た。

◆実験的に実施
 同協組では、毎年春と秋に各2日間フリーマーケットを実施し、1万人以上の来街者を集めているが、この種の産直セールは初めて。
 きっかけは、今年度から横浜市が始めた「コミュニティ商店街モデル事業」に指定され、3年計画で商店街活性化に取り組むことになったこと。今年度は基本計画を立案するだけの予定だったが、海業公社の「三浦の物産を販売するイベントを希望する商店街はないか」という相談を受けた横浜市から、「実験をしてみては」という打診を受けたことで今回のイベント実施となった。
 「すぐそばに、洪福寺松原商店街という市内トップクラスの生鮮食品中心の商店街、そしてサティがあることで、生鮮食品店が殆どないため日常の集客力に欠ける天王町商店街で、生鮮食品を目玉とするイベントがどの程度人気を呼ぶか試す機会になる。閑散期のにぎわいづくりにもなるのでは、ということで実施に踏み切った」(遠山理事長)。

◆効果をあげたPR
 宣伝にも力を入れた。新聞折り込みチラシ1万7000枚のほか、手渡しチラシ数千枚や横断幕と看板各数枚などで約30万円をかけた。
 また、イベント前日の18日には神奈川新聞にも大きく掲載された(同紙では、結果も写真入りで掲載)。
 これらの効果は大きく、「当日は、ふだん見かけない人が半数近く来てくれたのではないか」(遠山理事長)。

◆「やれば集客できる」を再認識
 
成果として、内村健副理事長は、
 1・天王町商店街の立地条件は悪くなく、何かやれば人は集まることはフリーマーケットなどでわかっていたが、生鮮食品を目玉としたイベントでも集客できることがわかり、天王町の宣伝にもなった
 2・出店した店の成績も、食べ物関係を中心によかった
 3・役員を中心に多くの組合員や町会員の協力が得られた(会場設営、海業公社商品の販売、交通整理など)。
 などの点をあげた。
 また、市商業・サービス業課では、「商店の女性たちの協力度も目立った。コミュニティモデル商店街づくりでも、期待できる」ことをつけ加えた。

 
◆課題は日常の賑わいづくり
 ただ、「年間を通して営業する生鮮食品店の誘致となるとまだまだ難しい」(遠山理事長)、「産直セールは食料品が中心になる。天王町に多い非食品の専門店が販促につなげやすいイベントも考えないといけないが、なかなか見あたらない。個店の取り組みの温度差もある」(内村副理事長)、などの課題もある。
 そして、両氏があげる最大の課題は、「イベント時の賑わいの一部でもいいから、ふだんの来街者を増やすこと」。
 その答を、コミュニティ商店街モデル事業で求めているわけだが、両氏は、「それほど経費をかけずに済む日常的な売り出し・イベントの開発、現在実施しているスタンプ事業の強化、地域にあった業種構成の見直しなどを地道に実施していくこと、そして各店の商品力を高める、逸品事業などを着実に実施していくこと」と口を揃える。

 (株)三浦海業公社との提携イベントは、3月3日に瀬谷区の三ツ境南口商店街での「うきうきっくフェスタ」でも、ワールドカップサッカー盛りあげパレード後に行われ、まぐろやわかめのメカブ、三浦赤大根などが人気を集めた。
■同公社のお問い合わせについては、市商業・サービス業課まで(電話671・3488)


【事例紹介2】 港北区菊名池畔商店街協同組合
 こだわり逸品のお披露目で
 4店協力の商店会オリジナル鍋セットを販売

商店会の入口に設置された巨大ボード。
各店主が顔写真入りで店の逸品を紹介

 港北区の菊名池畔商店街協同組合(高山仁理事長・18店)では、1月末に、「わがまちのこだわり逸品」のお披露目をかねて、全店主の顔写真入りで逸品をアピールするB3判のチラシを約1万枚作って新聞折り込みした。

◆商店会オリジナル特選鍋セット
 1月31日〜2月2日の3日間は特に、商店会の中にある、精肉店、鮮魚店、八百屋、韓国料理店の店主たちが選りすぐった素材を集めて作った、商店会としての逸品「池の畔オリジナル鍋セット」を販売した(1日50セット限定)。
 本格キムチ鍋セットは980円、旬のよせ鍋セットは1280円で提供(共に2〜3人前)。両方お買い上げの場合は2002年ワールドカップにちなんで2002円で。すべての素材の産地表示を明確にし、レシピもつけた。
 精肉店の北村さんと鮮魚店の川端さんは、「4店が協力して厳選素材を出しあったことで、コンビニやスーパーなどで売られている鍋セットとは明らかに差別化できたものが作れて、お客様の評判も上々だった。次は秋と冬に、今回とは違った季節の鍋を考えたいと話し合っている」という。

◆こだわり逸品まちづくり事業で 自店のサービスや商品を見直し
 商店会では、01年度の市指導センターのこだわり逸品街づくり事業の指定を受け、昨年の夏頃から勉強会を重ねてきた。勉強会は月1〜2回開催。毎回ほとんどの店主が出席して熱心に議論を繰り返し、商売の基本にかえってサービスや商品の見直しを行っていった。
 その結果、小さな商店会では安売り合戦には太刀打ちできない、遠くからでも足を運んでもらえる物を逸品としてアピールしていくしか商店会として生き残りの道はないという結論に。
 そして、「安心」「安らぎ」「健康な生活」という三本柱をコンセプトに、各店がこれに沿った自店の逸品を探し出し、今回のお披露目となったもの。
 逸品事業のまとめ役を果たした渡部さんは、「狂牛病や雪印の問題など、食に対する不信感が高まっている今、タイムリーなコンセプトであり、実際の企画としては、素性のはっきりした厳選素材を使った商店会オリジナルの鍋セットとして実現した」。
 また、商店街の入口に巨大ボードを設置し、ここでも店主の顔写真入りで各店の逸品を常時紹介している。店主の顔写真を載せることで、お客様から親しみと安心感をもっていただくことにもつながっている。

◆243回を数える毎月恒例イベント
 商店会では毎月、「タイムショック」という一時間限定の売り出しを実施しているが、この売り出しは約 年、243回も回を重ねており、毎月楽しみにしてくれているお客様も多いという。まさに「継続は力なり」の好見本といえる。
 商店会では、「この売り出しに逸品をからめて、よりアピール度を強めていきたい」と、今後に期待する。

 イベント企画運営のポイント

1・目標設定 
 なぜイベントを実施するのか―明確な目標を設定することが成功の一歩だろう。というか、目標の設定がないことには、成功か失敗か、次のステップへどうつなげていくかの判断もできない。
 イベントの目標として考えられるのは
1)商店街そのもののPR
 消費者に忘れられないよう共同宣伝やイベントを実施することが重要。  個々の店の場所や扱い商品を説明した商店街地図や看板、タウン紙などと共にイベントでアピールする。
 スタンプ事業や空き店舗対策・不足業種誘致など商店街事業と連動したイベントで相乗効果をあげることも。
 
2)共同販促
 各店が、「売り」の商品・サービスを共同で販売する。「逸品運動」や共同特売、入学・進学、就職、連休、健康など、テーマに応じた情報・商品をアピールする方法もある。
3)遊びごころ、連帯感醸成
 「利益は二の次」と割り切り、住民や各種団体と連携して楽しむ、あるいは地域社会貢献型のイベントを実施し、会員間及び地域住民とのふれあいを強める
4)人材発掘
 役員以外の会員や家族などに、まちづくり・商店街活性化に意欲を持っていたり、意外な特技や人脈を持つ人がいる場合が少なくない。そのような人たちに商店街活動に参加してもらう機会とする。

2・組織づくり
 役員だけでなく、商店のおかみさんや若手、商店会以外の個人や団体の構成員の参画を募る。イベントのテーマによっては、町内会や学校、スポーツ・文化・ボランティアなどの団体と提携あるいは後援することは十分可能だ。

3・結果の評価
 
イベントでは、良きにつけ悪きにつけ、いろいろなことがわかってくる。
 それらの結果を今後に生かすため、必ず結果の評価をすること。そのためには、加盟店や消費者へのアンケートで幅広い情報を得たり、懇談会などで掘り下げた情報を収集する。



【市外事例】 東京・立川市羽衣商店街振興組合
 3店ラリー 参加店の販促につながると評判
 「3店ラリー」とは、東京・立川市の羽衣商店街振興組合という中規模の近隣型商店街で、ここ数年の中元・歳末で実施している人気のトリプルサービスである。
 昨年歳末の場合は、12月1〜12日(抽選会は13日)に、次の内容で実施した。
 1)ラリー台紙8000枚を印刷、参加店約40店から、買い上げ客に配る。
 2)消費者は500円買い上げごとに店のゴム印を押してもらう(1回にいくら買っても店印は1つ。台紙は何枚でももらえる)
 3)異なる3店から押印してもらうと、最後に押印してもらった店でスタンプ30枚がもらえる(これが第1のサービス)
 4)その台紙に、氏名・連絡先と好きな数字3つを記入し、店に預ける
 5)公開抽選会で当選番号を決定し、ぴったり賞は最高10万円の現金2本。ハズレ券を抽選して、1等1万円分の商品券 本、2等5000円分の商品券30本、3等スタンプ1000枚50本等が当たる。景品総額約50万円(第2のサービス)
 6)当選者には、台紙を預かった店が連絡する
 7)参加全店で、スタンプ2〜7倍、特価、粗品進呈など何らかのサービスを受けられる(第3のサービス)
*ラリー台紙の印刷枚数や押印するための最低買い上げ額、押印する店の数、景品の内容等は各商店会の状況に応じて調整できる。羽衣振組の場合は、スタンプサービスをメインとしているが、スタンプの代わりに金券などのサービスをすることも可能。

ラリー台紙

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