119号【特集】

 特集  人にやさしい商店街づくりへの取り組み
  
11月5日のシンポジウムから
   

 昨年11月5日、開港記念会館1階講堂で、「人にやさしい商店街シンポジウム」が開催され、約100名が参加した。主催は、「関内駅周辺福祉のまちづくり重点推進地区協議会」(市商連が後援)。
 この協議会は、「人にやさしい横浜市の福祉のまちづくり条例」に基づく重点推進地区指定第1号で、行政、市民、事業者が協働して取り組んでいる。
 シンポジウムでは、市内の伊勢佐木町1・2丁目地区振組の加藤昇一理事長、服部一弘氏(NPOアニミ代表で同協議会の活動にも積極的に参画)による基調報告、二俣川銀座振組の市川俊明前理事長、三ツ境南口商店街の渡辺薫理事、東京の八王子商店研究会の伊奈繁男会長と露木肇子バリアフリー委員会委員長らによる事例報告やパネルディスカッションという構成で行われた。また、中田宏市長も冒頭30分ほど、メッセージを述べた。
 本号では、このシンポジウムで活動を発表した4団体の取り組みを要約した。

 接客講習会やアート展、まち歩きなどを地域ぐるみで

 中区・伊勢佐木町1・2丁目地区商店街振組

 バリアフリーに取り組んだのは78年のオープンモール化から。24時間歩行者天国としたほか、歩車道及び道路と店舗の段差の解消、ベンチの設置などを実施した。
 それから22年後、横浜市の「ライブタウン整備事業」の指定を受け、2000年度に竣工したモールリニューアルでは路面のフラット化、弱視者向けの街路照明、車いす対応トイレのある施設への案内板などを実施した。
 ただ、「車いすだとタイルの目地などでスムースに通れない」など、身障者や高齢者が設計段階で参画していないことによる問題点もあるという。
 一方、99年12月から横浜市福祉局の肝いりで馬車道商店街協同組合や横浜中央地下街商店会(マリナード)と共に「関内駅周辺福祉のまちづくり重点推進地区」に指定され、ソフト事業を中心に取り組んでいる。
 事業としては、
・バリアフリー接客技術講習会 
・福祉のアート展(希望店に障害者の作品を展示。期間中、車いすのダンスや神輿の渡御、ミニコンサートなども開催)。
・「伊勢佐木フォーラム」(商店を回り、道路や店の使い勝手をチェックする「イセブラ」=2002年10月24日に初開催)とシンポジウムなど。
・商店向けの参考書として「バリアフリーハンドブック」を関連団体である、NPO「アニミ」が作成中。
 *このほか関内バリアフリーマップ触知図を昨春、協議会が作成。
 このような活動が浸透、障害者団体などとのネットワークも広がったことで、以前に比べ、車いすの来街者も増えている。

 車いすの神輿(写真上)

 市長も車いす体験した「イセブラ」(写真右)

 ローカルに徹したモールを目指したら、バリアフリーのまちづくりに

 旭区・二俣川銀座商店街振組

 きっかけは91年の大型店出店問題。商店会は大反対したが、多くの住民は賛成して大型店は出店。
 それを反省材料に、商店街も地域に喜ばれるようモール化することにした。
 どんな特徴をつくるか研究した結果、大繁華街ではないのでローカルに徹することにし、改めて地域を調べてみた。
 すると、視覚障害者のリハビリテーションセンターや癌センターなどがあることに気がつき、お年寄りや障害者、子供たちにとってやさしい「福祉のまち」をつくることにした。
 しかし、当時はモデル商店街もなかった。それで独自に始めた勉強会の中で、視覚障害者の方から、「盲導犬を連れてレストランや薬局などに入ったら、『犬はお断りです』と言われ不愉快な思いをした」と言われた。そこで、私達の商店街では盲導犬同伴を認めるようにしようという運動を展開した。
 もうひとつは人にやさしいおもてなしマニュアル。これには「障害を持っている人にも障害を持ってない人にも同じようにあたたかく接していこう」という私達の心構えをまず書いた。
 また、視覚障害者、特に弱視者は街路灯が非常に邪魔になるので、夕方になると街路灯の中ほどにフットライトがつくようにした。
 車いすの方の意見で歩道はフラットにした。
 このほか、健常者に車いすやアイマスクで商店街の中を歩いてもらい障害者のことが理解しやすくなるイベント、車いすなど介護用品のリサイクル運動、握力のない人にも使いやすい醤油さしを飲食店で用意するなどのユニバーサルデザインにも取り組んでいる。

 

 「福祉の街宣言」をHPでも

 専門事業者との提携で宅配やデイケアなど

 瀬谷区・三ツ境南口商店街

 「人にやさしい商店街づくり」に取り組んだのは、99年8月に「高齢社会対応の活性化研究会」を立ち上げたことから。その際、4つのテーマを設定した。
 第1は宅配事業で、ヘルパーを仲介として、介護保険の枠内でのサービスを模索することでコスト抑制と受注安定を目指した。
 第2は集客事業で、元気な高齢者の生き甲斐とか充足感を創出するための活動の場を商店街に用意することを考えた。
 第3は地域の要介護者のため良質の介護サービスを提供すること。商店会が自らするのではなく、介護事業者を商店街に誘致することを考えた。
 第4は情報事業で、前記3事業を効率的に運営するため、インターネットなども活用して情報の流通と活用を目指すことにした。
 宅配を目指すのは、商店街の多くの部分が急な坂になっていて、高齢者や身障者にはきついため。
 2000年10月に横浜市と神奈川県の空き店舗活用事業の適用を受けて「三ツ境せっせ=三ツ境南口商店街生活サポートセンター」を設置した。これは、訪問介護事業と介護予防型通所事業(ミニデイケアセンター。健康チェック、機能維持体操、昼食、余暇活動など)からなり、市内の事業会社に委託。
 宅配やインターネットは、まだ結果は出ていないが、訪問介護やデイケア事業は順調に推移している。
 そして今年(2002年)9月末からは、別の会社とも提携、空き店舗を借りて、御用聞き事業を開始した。同社の6人のスタッフが毎日、地域の高齢者世帯などを回り、買い物の注文をとったり、介護サービスの対象となる住宅リフォームや家事支援という3つの営業を兼ねている。
 家事援助を通じて生活者との良好な関係を維持しながらニーズを把握し、それを商店にフィードバックすることで商店街の商品力の向上につなげられればと考えている。
 また、訪問などで、高齢者等の安否確認やインターネットを簡単に使える支援なども進めたい。

 宅配や元気な高齢者の集客につとめている
 三ツ境南口商店街

 「心のバリアフリー」を推進。
 障害者の声を広く聞き、接客マニュアルやマップ作成等

 八王子商店研究会

八王子商店研究会には、個店の経営、まちづくり、そしてバリアフリーの3委員会がある。
 バリアフリーに取り組んだのは 年から。当初は二俣川銀座商店街からいろいろ勉強させていただいた。
 当会は1つの商店街ではなく、市内全域の有志約60店で構成されている。このため、商店街全体をバリアフリーにすることは難しい。
 しかし、市内の様々な身障者と対話集会を開催して、「ハードがなくても、手を差し出し声をかけること、心があれば乗り越えられる」と言われ、個店で出来るバリアフリーを推進することにした。
 更に、大々的なアンケート調査を実施。その結果を受けて、手話講習会やユニバーサルデザインの勉強会を開催。また、「バリアフリー都市宣言」をした埼玉新都心に車いすの人と一緒に視察などをして、「メイアイヘルプユー」という商店向けの障害者接客マニュアルにまとめたり、バリアフリー施設記載マップを作成した。聴覚障害者が主人公の映画上映会なども開催、多くの市民に存在が知られるようなった。
 また、各個店では、段差をなくし通路を広げて車いすが入れるようにしたり、手話の勉強、店内にユニバーサルデザインコーナー設置、「筆談お願いします」という表示をするなど、各店でできるバリアフリーに努めている。
 マニュアルはA5判とハンディーで各店のレジのそばに置き、困った時に活用しやすいよう内容もコンパクトにし、イラストも多く使って、わかりやすいようにまとめた。
 現在は「よりわかりやすいものを」と地元の専門学校や障害者の協力も得て、2003年3月までの完成を目標にビデオを制作中。

 

 119号目次へ   バックナンバー一覧へ   横浜の商店街HOMEへ