121号【特集】

 特集  逸品・じまんの品発掘とPRで商店街を後押し
  〜旭区・泉区・戸塚区

  最近、いくつかの区役所が地場産業・地域商店街の振興のため、埋もれた逸品の掘り起こしや開発、そしてPRに力を入れ始めている。旭区の「あさひの逸品」PR事業、泉区の「泉まちおこし事業・『泉区じまんの品』」、戸塚区の「とつか・モノじまん」事業などだ。事業の内容と成果と課題を各区に伺ってみた。

 「あさひの逸品」
 01〜02年度にカタログ
   
 「あさひの逸品カタログ」平成13年度版と14年度版

 ずばり、「商店街の活性化」を目的に「あさひの逸品」PR事業を始めたのは旭区。
 きっかけは2000年度に「旭区経済活性化事業」の一環として実施したアンケートや検討会で、多くの消費者や商業者から出された「区内には地元事業者の心のこもった名品・逸品がたくさんある。だが、意外に知られていないものも多い。そのような品々を発掘しPRをすれば、区民も地元を見直し、個人事業者や商店街は活性化するのでは」という提言だった。
 推進組織として「あさひの逸品」PR実行委員会を2001年度に立ち上げ、各年度3回ずつ開催。メンバーは、区内の商工業者や消費者、そして商業・マーケティングの専門家など。事務局は区の区政推進課が担当した。
 委員会の仕事は、逸品の発掘=公募と選考、そしてPRだ。公募は市広報旭区版、チラシなどを媒体とした。
 商品の発掘、PR、推進組織は他の2区もほぼ同様である。

■対象と指定要件
 逸品の対象と指定要件は、次のいずれかに該当することとした。
・旭区内のみで生産(実施)されている良質な生産品(サービス)
・区外でも生産(実施)されているが、生産(実施)の中心が区内である
・生産品(サービス)自体は一般的でも区内事業者により独自の特徴や価値が付加されている
・区外で生産されているが、区内のみで販売されている
・その他委員会が特に認めるもの
・公序良俗に反しない
・販売対象が特定の消費者に限定されていない
・生産者もしくは販売者があさひの逸品PRに意欲がある
・1事業所の指定は1製品に限定

■カタログ作成
 この事業の重要な結節点がカタログである。2001年度は30点、2002年度は27点が掲載された。
[体裁] A4三つ折り変形・4色
[内容] 逸品・事業所・店主等を文章と写真で紹介
[発行部数] 7000部を無料配布
[配布場所] 旭区役所・旭区内公共施設・旭区内各駅・「逸品」指定事業所など

 「泉区じまんの品」
  商業、農業、福祉の3分野で商品のPRやイベント
 
 
地下鉄のコンコースを会場に農業者や福祉関係者と合同で展示即売

 泉区の特徴は、商業だけでなく、農業や福祉の分野でも産品や製品の発掘・PRを進め、まちおこし事業として進めていることだ。
 農業は、農業者を中心に「旬の市部会」を設置し、泉区の農業のPRや泉区産の農産物を購入しやすい環境づくりを通して、「地産地消」を実現する旬の市、福祉は、地域作業所等関係者を中心に「いずみおりじなる部会」を設け、PRや施設間の連携を進める活動をしている。
 商業は、泉区商連、消費生活推進員、学生で、「特産品部会」を設置、「泉区じまんの品」の選定基準を決定し、今後、公募、PRなどを行っていく予定だ。
 それら3部会の連携事業を検討するため「企画委員会」を設置、全体を統括する組織として「泉まちおこし本部」を設置している。
 いずれも事務局は区が担当。
 2003年度は3部会が協働して立場駅構内に「まちおこし本部店舗」の出店、自然体験支援システム、まちおこしマップの作成を予定している。

■「泉区じまんの品」を公募
 特産品部会では、2002年度は数回の部会を開き、泉区じまんの品の発掘・普及策について検討した。2月から3月にかけ公募した結果、47点が集まった。区外製の商品など2点をのぞく45点について、2003年5月頃から消費者やフェリス女子大生らによるチームが約1カ月かけて調査、7〜8月に選定する。年内に他の2部会の品物と合わせて紹介するまちおこしマップを制作、配布する予定。

■泉発の商品で自信を 金刺昇一区商連会長の話
 「泉区はこれといった観光資源も強力な商業集積もない。その代わり、豊かな自然に溢れている。景況は厳しい上に秋にはイトーヨードーが超大型SCを区内に出店するなどで、多くの商業者は元気がないが、個人店でも頑張って商品開発やサービスの向上に努め、消費者の支持を得ている例が少なくない。そんな商品やサービスを広くアピールすることで、沈滞ムードの打開につなげたい。区民にとっても、自信を持っておみやげにしたり、日常の生活を豊かにしてくれる『泉発の商品』があることはうれしいはず」。

 「とつか・モノじまん」
 応募300だが、選択基準づくりが課題

 
募集パンフ。親しみやすいイラストで1人でも多くに手に取ってもらえるよう工夫

 戸塚区では、「戸塚再発見」という大きな枠組みがあり、その一環として、「とつか・モノじまん」事業が生まれた。
 戸塚区は新住民が増え、区内にどんなものがあるか知られていない。そこで、戸塚にあるいいものを多くの人に知らせたいというのがこの事業の趣旨。
 区商連や消費者代表、商工会議所戸塚支部、工業会、農協、自治会・町内会、明治学院大学等の委員で構成する推奨委員会を昨年 12月に立ち上げ、今年の1〜2月に推奨品を1人1品という条件で公募した。
 対象は、区内で生産・販売され、継続性やおもしろさや独自性がある加工食品、工芸品、農畜産物、工業製品、食メニューなど。

■応募は300点
 抽選で 名に記念品を進呈としたことなどで応募は約300点。
 一番多かったのは食べ物。こじんまりとやっている手作りのパン屋さんなど。「知る人ぞ知る」といったもののほうがスムーズに出てきた(書きやすかった)ようだ。
 4月24日に第1回の選考委員会を開催したが、選ぶことの難しさにつきあたった。具体的な選考基準を決め、あと数回ほど委員会を開催して選定し、パンフ作成などの期間を経て10月に発表する予定だ。
 選定後は、リーフレットの作成や展示会などのほか、駅のコンコースにワゴン出店など、多くの区民が直接触れることができる方法をと考えている。

 ◆各区の取り組み概要
 

旭区

泉区

戸塚区

名称
あさひの逸品」PR事業 泉まちおこし事業・「泉区じまんの品」 とつか・モノじまん

期間
01〜02年度(広報区版での紹介は03年度も継続) 02年度〜04年度 02年度〜03年度

推進組織
「あさひの逸品」PR実行委員会(年3回ずつ開催) 泉まちおこし本部特産品部会。商業者、消費者、学生も参加(年4〜5回) 「とつか・モノじまん」推奨委員会(02年度は1回、03年度は3〜4回予定)

決定点数
(応募点数)
01年度30点、02年度27点(応募は2年で約60点) 45点を選定予定(応募47点) 推奨委員会にて検討中(応募約300点)

目的
区内の特色ある製品やサービスを区民参加で選定、商店街の活性化につなげる 区内の魅力ある商品・サービスを区内外の人々にPRすることでまちのにぎわいにつなげる 魅力ある区内の商品や生産品を「推奨品」としてPRし区民の地元意識高め、戸塚区の産業振興を図る(モノに限定)

逸品・自慢
の品のPR
・01年度と02年度カタログ各7,000部を無料配布
・広報区版で毎号3品程度紹介
・店内ポスター
・カタログ&マップを作成予定
・まちおこしフェスティバルなどのイベントを予定
*ロゴは作成済み
・リーフレットの作成
・展示会
・駅のコンコースでのワゴン出店 などを検討中

市助成金
01年度、02年度各100万円 02年度100万円、03年度380万円 02年度100万円、03年度150万円

 成果と課題
 これらの事業の成果はどうだったか?
 2001 年度逸品を公表して1年以上たった旭区では、指定事業所にアンケートをしたが、評価は難しいという。
 この事業がきっかけでヒットした商品もあることはあるが少ない。しかし、多くの消費者に、区内発の商品・商店をアピールし、そして事業者には自店のお薦め品をつくり、PRすることの重要性を訴えたことの意義はあるといえそうだ。

◆公募商品の選定
 事業者や消費者が推薦してきた商品全てが「逸品・推奨品」とは限らない。しかし、公募した側としてはなるべく多くを指定したい。といって、指定後に「どこが逸品?」と疑問をもたれるようでも困る。
 選定基準づくりも課題といえる。

◆同業組合で商品開発例も
 製造や加工のできる店は独自性を出せるが、仕入れて売る店はそれが難しい。だから3つの区でも応募品の大半は、和洋菓子、パン、惣菜、飲食メニューなど食品関係、地元産の農産物だった。
 しかし、仕入れ品でも、消費者の要望などをメーカーや問屋に伝えて商品開発の一端を担う、豊かな専門知識で消費者の相談に乗る、ということはできるはずだ。
 また、「秘伝焼き肉のたれ」、「ワイン仕込み」という2種類のたれをつくり、「あさひの逸品」に指定された横浜旭食肉事業組合のように、同業団体で取り組む道もある。

 121号目次へ   バックナンバー一覧へ   横浜の商店街HOMEへ