123号【若い力】

 南区・横浜弘明寺商店街協同組合青年部
 まちを愛する心がDNAに組み込まれている
 頼もしき三代目たち


 約20年前に、若手有志が駐車場経営、会社設立といった新鮮な話題を次々提供してくれた横浜弘明寺商店街の若手たちだったが、今はその息子たちが、イベントを中心に大活躍。まちづくりまでを視野に入れた活動で、元青年部の父親たちを安心させている。
 取材時に集まってくれた6人全員が三代目、「じいさんの時代から商店街を見て育ってきた」メンバーたちからは、父親譲りのまちを愛する熱いハートが伝わってきた。

  
さくら橋に勢ぞろいした青年部の主なメンバー6人。このバラエティーに富んだ外見同様、個性的なキャラにあった役割を楽しみながらこなして、子供からお年寄りまで多くの商店街ファンを増やし続けている。
写真左から、イベント部・細井勇人さん(前会長・191Bの長身とソフトな物腰を生かして渉外担当)、副会長・笹川泰広さん(縁の下の力持ち)、会長・今井啓雄さん(個性派揃いの青年部員たちのまとめ役)、副会長・佐野隆浩さん(まちづくりを語らせるならこの人)、イベント部長・大貫文吾さん(企画はお任せ)、総務部長・福田宗弘さん(イベントの司会進行にはなくてなならない人材)

*商店街HP(弘明寺かんのん通り) http://www.horae.dti.ne.jp/~g-city/

*なにしろ6人の若者達から次々とご意見をいただいたため、紙面の都合もあって、発言者名は省略させていただきました。

■イベントは双方向の交流から
 青年部の活動のメインはなんといってもイベント。商店街全体での売り出し・イベントは年間60を数えるが、ここでは青年部主催の主なイベントをご紹介するにとどめたい(表参照)。

4月「弘明寺屋台村」 大岡川沿いの桜の名所として毎年大いににぎわう観音橋・桜橋の上で、夜桜見物の方たちに楽しんでいただこうと夜店を出店。ナン、タコス、オープンサンド、チーズフォンデュ、ラーメン等など青年部メンバーが腕をふるう。
5月「家族の日」 子供たちに家族の絵を描いてもらおうというものだが、母の日・父の日ではなく家族としたところがミソ。
7月初旬「七夕イベント」 近くの小学校の生徒に短冊を書いてもらって飾り付け。
7月末「浴衣で得する弘明寺」 浴衣や甚平を着てきたチビッコにヨーヨー釣りなどゲームを無料で楽しんでもらう。浴衣を着て来る子供だけで約300人、それ以外の人も合わせると1000人近く集まる。
12月「クリスマスツリーコンテスト」 各店が趣向を凝らしたツリーを店頭に飾りつけ、お客さんによるコンテスト。半数以上の店が参加。お客さんに店を知っていただく絶好のチャンスでもあるので、各店もツリー製作に力がこもる。
2月「子供フェスタ」

「どこの商店街でも地域との交流を図ろうと考えてはいると思いますが、イベントをやりますから遊びにきてくださいという形で、一方通行で終わりがち。うちでは青年部員が卒業生ということもあって、近くにある2つの小学校から、こういう発表会を橋(注)の上でやりたいから告知や会場設定をお願いしたいといった申し出が、日常的に青年部にある。双方向の交流があるんですよ」。
 小学校の生徒が商店街や青年部について調査したり、学年の思い出づくりに商店街のイベントを企画したいという申し出があったり、川の生態系を調べる授業で川が汚れていると知った小学生たちが青年部と一緒に川の掃除をしたりと、あげればきりがない。
 子供をメインにしたイベントを打つことで家族も一緒に楽しんでもらうのが目的。お年寄りのために座れる場所や飲み物を用意する心遣いも忘れない。
(注)アーケードの下にかかるさくら橋のこと。2年前のアーケードリニューアルの時に既存の観音橋に併設されたさくら橋は、手すり部分を階段状にしたため、ベンチ代わりにくつろげる憩いの場ともなっている。また、膨らみをもたせた形状はステージに最適で、商店街のイベントのみならず子供たちの演奏会やストリートパフォーマンスが常に繰り広げられている。
 「橋は、僕たちにとってコミュニケーションのためのスペースとしてすごく重要なファクターになっている」と言う。

・ハートがあれば大資本にだって負けない
 以前、ミニ四駆のレースを企画した時は、上大岡の駅ビルオープンと同日で、向こうも同じミニ四駆イベント。
 「誰も来ないかもしれないけど頑張ろうねと言っていたんですが、フタを開けたら、うちのほうが断然多かった。賞品なんかは上大岡のほうが豪華なのに。どうしてうちに来てくれたの、と子供に聞いたら、ここはお兄さんたちが、僕たち1人1人を選手として見てくれるからって言うんですよ。ハートが大資本に勝った。それがうちの目指すところ」。

・弘明寺を全国ブランドに
 地元には横浜で一番古いお寺の弘明寺がある。坂東の十四番目の札所としてお遍路さんも多く、一昨年には身代わり地蔵尊も建立された。
 そこでこの10月から、「目指せ横浜の巣鴨地蔵」として、毎月8日の観音様の御縁日に、境内でお茶とお菓子を用意してお参りの方たちに休んでいただこうと計画を練っている。「まずはおもてなしの心というソフトから。次には青年部として、弘明寺を全国ブランドにできる商品の開発も考えています」。

■ホームページは商店街の窓口
 この4月にアップした商店街のホームページは、業者には一切任せず青年部の手作り。季節のごとの商品変更など個店からの依頼にも即対応している。
 設けたメール欄には、すでに300通ほどの意見が寄せられているという。
 「商店街を歩いていて足をくじいた時、背の高いお兄さんに助けていただいた、どこの店の方か分かりますか」というメールにも、同じ商店街で育った同士なら、「それはどの店の誰々でしょう」とすぐに返事ができるというもの。業者ではこんなきめ細かな対応は不可能だろう。
 「面と向かっては言いにくい、どこに言ったらいいか分からないということは多いと思うんです。ホームページはそんな時の商店街の窓口。地域と商店街をつなぐツールになりつつありますね」。
 
■「商店街は地域の背骨」の認識で
 青年部員は現在20名。40歳定年制を敷き、平均年齢30歳前後と名実ともに若さが売り物だ。「空き店舗が増えて商店街がさびれてしまうと地域全体が治安の悪い荒れたまちになってしまう。じいさんの代からここで育っている僕たちは、まちに対する愛情だけでなく、商店街は地域全体の背骨、地域の風土や文化を守るなど大事な部分を任されているんだという自覚と責任感を持っています」「弘明寺の青年部は団結力、創造力など横浜ナンバーワンだと思っています」と口々に。なんとも頼もしい限り。

*次号は磯子区・プララ杉田専門店会青年部をお訪ねします。

夏の名物イベント「浴衣で得する弘明寺」では、青年部の面々も粋な浴衣姿で大奮闘


「弘明寺屋台村」では、バラエティーに富んだ屋台を出店

イベントは「子供の視点に立って一緒に楽しむ」がモットー

「お客様にいつも気持ちよく渡っていただきたい」と、橋の清掃も青年部の重要な仕事

左が観音橋、右がさくら橋。お年寄り、子供連れ、それぞれが気ままにくつろげる素敵なスペースだ


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